MAYUCA®
MAYUCA®のプロテインコーティング:
カシミヤ紡績の研究から生み出された特許技術
シルクとは
シルクは、蚕(幼虫)の繭から糸を挽いてつくられる天然素材。その歴史は古く、絹織物は4,000年ほど前の中国で作られ始めたと言われています。独特の光沢やしなやかな肌ざわりが特長で、高貴な人々に長く愛されてきました。 見た目や風合いの優美さに加え、衣類としての実用性も優秀な素材です。吸放湿性・通気性・保温性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かいというメリットがあり、素肌に優しくかぶれや接触性皮膚炎を起こしにくいされています[1]。また近年わかってきたことは、シルクの成分が人間の肌を構成する成分に近く、有用な効果が期待できるということで、繊維素材としてだけではなく、化粧品・医薬品あるいは健康食品など、幅広い分野で活用されています。
生糸と絹紡糸
絹糸と言えば、たくさんの繭からほぐされた細い繊維を引っ張り出すように巻き取っていく昔の製糸工場の情景を思い浮かべる方も多いかと思います。これは生糸(きいと)を作る工程ですが、生糸は、長いもので1,500メートルくらいになり、天然糸の中では唯一の長繊維(フィラメント)です。周りを覆ったセリシンと呼ばれる膜を除去する「精錬」により、あの絹独特の艶と光沢を湛えるようになります。
生糸の他に、紡績によって製糸される絹紡糸(けんぼうし)という種類があります。繭から取り出される糸のうち短い繊維を綿状にし、細く紡いで撚り合わせて一本の糸に作られる絹糸です。生糸と比べるとバルキー性(嵩高性)とふんわりとした風合いが特長です。紡いで撚り合わせる、まさにカシミヤの紡績と同様の工程で作られる糸で、蓄積された知見が直接活用できる分野でもあります。
東洋紡糸では絹紡糸、生糸両方の生産技術に注力しています。また産業の将来を見据えて新しい蚕種の研究にも積極的に参画し、様々な繊度(細さ)の糸を生み出す種の開発等をおこなっています。
天然素材を使った加工
衣料品として人気の高いシルクですが、そのデリケートさ故にお洗濯が難しく摩擦に弱いのが悩みどころでした。近年、水洗いのできるシルクが多種市場に出回るようになりました。基本は何らかの素材や薬剤を付加することで水分や摩擦への耐性を高める加工をしており、多くは樹脂コーティングが施されています。
合成樹脂は所謂プラスチック材であるため、シルクの風合いや吸湿性などの特長が損なわれることがあり、また環境保護の観点から考えてもあまり望ましくありません。MAYUCA®のコーティング素材は、シルクの加工に適した良質のたんぱく質を、試行錯誤しながら見つけ出していったものです。使用するのは天然素材、もちろんに人体に無害であり、医薬部外品としても認められた安全な材料です。
カシミヤ加工を基に発展させた特許技術
MAYUCA®は、東洋紡糸の技術者によって開発された特許取得済のプロテイン(タンパク質)コーティング技術です。では、その技術はどうやって実現したのでしょうか。
原点は紡績においてカシミヤの品質向上を担ってきた知識と経験にあります。カシミヤの原毛は、屋外で育成するカシミヤ山羊から採取するため、風雪や日光による微小な傷、変色が見られることがあります。例えば染色の工程で、こういった小さなキズが色ムラや発色性、堅牢度(安定性)に影響することがあり、原毛の品質を維持しつつ、いかに糸表面の改善を行うかが課題の一つでした。長年この作業に携わってきた社内の研究部署には、材料の詳細データや、浸透性、起こりうる化学反応、適用のタイミングなど、さまざまなノウハウが蓄積されています。それらを基に、シルク表面にプロテインをコーティングさせる高度な技術を確立させていったのです。
カシミヤに似た「スケール」加工がポイント
コーティング技術に加え、MAYUCA®には東洋紡糸ならではの更なる工夫があります。
カシミヤのスケール(ウロコ状のキューティクル)に似た機能を付加させました。
ウールやカシミヤなどの獣毛はスケールを開閉することで水分を吸放湿しますが、疑似スケールを付加したMAYUCA®も同様に呼吸する繊維へと進化しました。
シルクにはない繊維の微小な突起が加わり糸に膨らみを生み、ふっくらとした風合いが感じられます。疑似スケールを構成するコーティング素材に疎水性硬質タンパク質を使い、また糸の内部を補強する技術を適用することで、繊維のハリ・コシが増し、キックバック性(弾性回復性)のある糸になっています。
MAYUCA®のプロテインコーティングは、カシミヤ紡績の東洋紡糸だからこそ実現した特許技術なのです。
MAYUCAは東洋紡糸工業の登録商標です。
[1]体質等によりアレルギー症状が出現する可能性がございます。お肌に異常があらわれたときは使用を中止し、必要に応じて医師に相談してください。